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2008年3月

2008年3月30日 (日)

美亜へ贈る真珠

 短篇傑作選ロマンティック篇と銘打たれた、1971〜 1998年にかけて書かれた叙情的SF短篇集。近年、著者原作の映画が公開ラッシュ(「黄泉がえり」「この胸いっぱいの愛を」)になったのにあやかって編纂されたのだろう。

 「美亜へ贈る真珠」航時機計画に志願し、時の流れを限りなく遅延させた空間で未来をめざす男。彫像のように佇む彼の元を繰り返し訪れる女性。
 「詩帆が去る夏」クローニング研究者の愛と絶望。
 「梨湖という虚像」恋人を失い辺境の星に赴任した女と、辺境を巡る資材運搬船のパイロットとなった男。
 「玲子の箱宇宙」新婚祝いに混じって、誰からのものか分からない箱には、宇宙が入っていた。
 「“ヒト”はかつて尼那を……」父の仕事に付いて、シエ・スタの街を訪れたワルッィエン人のパンチェスタは、ヒト博物館で……。
 「時尼に関する覚え書」保仁が5歳の時に出会った初老の女性、ジニイ。次にあったときには、彼女は心なしか若返っていた。
 「江里の“時”の時」ワームホールを通して、自分の存在しないそっくりの世界を幻視した男は、こちらの世界には存在しない女性に恋する。

 一番こころ惹かれるのは、「時尼に関する覚え書」。でもこれ、映画「ジェニイの肖像」とか萩尾望都の「マリーン」とかハインラインの「輪廻の蛇」とか山田太一の「飛ぶ夢をしばらく見ない」など、先行する類似の話がいろいろあるので新味に欠けるのは否めない。

 『美亜へ贈る真珠』梶尾真治、2003。ハヤカワ文庫JA。

2008年3月29日 (土)

ラジオ番組の幕引き、いろいろ

 NHK「私の本棚」終了。50余年の歴史に幕。もったいない。
 MBS「鋭ちゃんの朝いちラジオ」終了。中村鋭一の政治話やその他の四方山話が聞けなくなる。KBS京都で新番組あり。
 ABC「全力投球 妹尾和夫です」から、高野あさお“卒業”。4年半前の番組開始以来、いや、その前身の土曜の番組のころから、番組の第二の顔もとい声だったので、別の人になることが想像できない。
 MBS「早耳ラジオ水野晶子です」終了。シネマチップス以来注目している水野アナ、今度は土曜に番組を持つようだ。
 KBS京都「ハロー・ミュージック・ランド」終了。日高のり子がKBS京都を去ったあと、似たような声で番組を始めたのが南かおり。屈託ない笑い声が聞けなくなるのが残念。
 え、ABCの「ミュージックパラダイス」も終わり? 思い入れはないけどびっくり。
余談。ちょっと前のNHKラジオによると、苫小牧発仙台行きフェリーは今だ健在で、時々拓郎ファンが乗ってくるらしい。行ってみたい。

 新刊購入。
 桜庭一樹『少女には向かない職業』、萩尾望都『あぶな坂HOTEL』、星野之宣『宗像教授異考録・6』。

2008年3月19日 (水)

この胸いっぱいの愛を

 百貨店の駅弁フェアの調査のため、飛行機で東京から門司へ来た鈴谷比呂志。
飛行機内からバスに乗り換えた記憶がないまま、門司の町に降り立ったが、そこは20年前──1986年の世界だった。だがそこには彼以外にも、それぞれの想いを20年前の門司に抱く、飛行機の乗客がきていた。
 梶尾真治の『クロノス・ジョウンターの伝説』をもとに作られた映画『この胸いっぱいの愛を』を、原作者みずからがノヴェライズ化するという異例の経緯で書かれた小説。良。
 映画同様、過去の世界にタイムスリップした乗客たちが、その時代に置いてきた心残りを果たそうと行動する。それぞれの物語から、それぞれの感動が生まれる。
 映画との違いは、おおむね良。クロノス・ジョウンターの名前が出てきたときは、ちょっと違和感あった。クロノス解析うんぬん、というあたりでとどめておく位が、私としてはいいかなと思った。
 臼井は映画では、どんな役回りだったっけ? 観直さないと。
 映画での、その後の和美の描き方が大いに不満だったが、この小説のオチには満足。

『この胸いっぱいの愛を』梶尾真治、2005。小学館文庫。

2008年3月16日 (日)

録画番組

 HDDレコーダーにTV番組を録画しすぎて残り時間15時間になったので、まだ観ていない映画などを消して残り45時間にした。そういえばこの前DVDレンタルしてコピー(一時的に、ね)した映画も、まだ2本観ていない。こうして各家庭にデジタルアーカイブが蓄積していくのだなぁ。そういうとこには、もちろんVHSアーカイブも蓄積しているのだなぁ。今後はそれがブルーレイアーカイブに移行していくのだなぁ。無駄だなぁ。映像制作者も頭痛いだろうなぁ。ヒットしなかった映画もビデオ・セールスで元を取るなんてことができなくなるなぁ。
 
 古書購入。
 『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』齋藤孝&倉田真由美。はい、もちません。
 『あのころの未来』最相葉月。星新一を読み解くエッセイ。
 『この胸いっぱいの愛を』梶尾真治。映画の原案者による映画ノベライズ。 

2008年3月13日 (木)

それでもボクはやってない、SAW

 映画『それでもボクはやってない』(TV)監督・周防正行。満員電車で痴漢扱いされた男の、取り調べや裁判をめぐる物語。良作。でも、疲れた。カタルシスなし。盛り上げる必要のない作品とはいえ、なんとか盛り上げられんものか? 『憲法第三十九条』ほどの奇抜な演出を求めるものではないが。鈴木蘭々、十年ぶりに観た気がする。いい感じ。

 映画『SAW』(DVD)いずことも知れぬ密室に閉じ込められた、二人の男。彼らの足は部屋の対面に鎖で繋がれ、部屋の中央には血まみれの死体が。いったい誰が、なぜこんなことを? 最近第四作が公開された人気シリーズだが、オープニング・ロゴを観るだけでもエグそうで尻込みする。先に(なぜか)観た『SAW2』のエグさを予感。しかし始まってみると意外に地味なミステリー。・・・だったが、最後は後味悪い、嫌いなパターン。お勧めしません。

2008年3月12日 (水)

国家の品格、丕緒(ひしょ)の鳥

『国家の品格』藤原正彦

 人殺しはなぜいけない?という問いに、「駄目だから駄目。以上、終わり」という以外に理屈はないという主張に賛成。三つの線分に囲まれた図形を三角形と呼ぶのが説明不要であるのと同じく、これは社会の原理なのだ。
 論理性を絶対視する姿勢や自由・平等・民主主義が格差を広げ世界におけるアメリカ優位を助長している。
 国際人とは外国語をしゃべれることではなく、自国をよく理解し体現していることである。
 愛国心には二種類ある。国益主義(ナショナリズム)ではなく祖国愛(パトリオティズム)を。
 武士道精神の復活を。──卑怯を憎め。弱者・敗者を思いやる心、惻陰の情を。貧しくとも気高い心を。
 なるほど、これは売れるだろう。よくぞ言ってくれたと膝を打つ者は多かろう。
 しかし勝者は聞きたくないだろうし、人殺しがなぜいけないか分からない者に教えるのは手遅れだろう。
 幼児期からの教育が大事だが、その前に親を再教育しないといかんな。
 我が子を虐待で骨折させ、その体にマジックで「死ね」と落書きできる親の再教育だ。えらいこっちゃ。

 『国家の品格』藤原正彦、2005。新潮新書。

「丕緒(ひしょ)の鳥」小野不由美

 慶国、予青七年。首都・堯天の中央にそびえる高峰の中腹には、下級官吏が務める「治朝」がある。その南西部、夏官府で羅氏を任ぜられている官吏・丕緒は、新王登極の知らせを聞く。そしてそれに伴う恒例の行事・大射で使用する鳥形の陶器──陶鵲(とうしゃく)の制作を命ぜられる。しかし、短命の王たちによる乱世に倦んでいた丕緒には、荷の重い仕事だった。
 十二国記シリーズを通じての主人公・陽子が王となったとき、文字通り雲の下では人々が何を思い生きていたのか。新王への期待と不安を下級官吏の目から描いた短編。
 シリーズに思い入れがあれば、ある程度の感慨はある。本編を進めてほしいというのが本音だが、安易に進めるには次の展開が重すぎることは重々承知しているので、気長に待っている。こうして周辺部のエピソードで間を持たせるのが、無難ではある。少しはファンの渇望も癒せるし。
 それにしても『yomyom』、特別定価ってどういうことだ? 十二国記を載せてるからって、アコギな商売してるんじゃないか?
 「丕緒(ひしょ)の鳥」小野不由美、2008。『yomyom』誌(新潮社)3月号所収。

2008年3月 6日 (木)

十二国記

 読売新聞に、小野不由美の十二国記シリーズ新作の記事が。2月27日発売された文芸誌「yomyom」に掲載されているという! しかも、すでに増刷がかかって、文芸誌では近年異例の計10万部達成だという! 出遅れた! 帰宅後記事を見て、買いに出た。読売の本を読売の記事で買うのはくやしいが・・・と 思ったら、新潮社だった。

2008年3月 5日 (水)

世界最大の「お笑い投稿」本 ニッポンの笑いVOW!!

 いつからかB5版になっている別冊宝島。それが通算1500号に到達したという。その記念として第1500号で1500冊を振り返る特集を、そして第1501号で宝島社のもうひとつの名物誌『VOW』19冊を振り返る特集を行なっている。コンビニに両方並んでて、こちらを購入。
 たしか『VOW4』を昔、買った。街でみかける間違い看板、変な広告、変な新聞記事などを、写真に撮ったり切り抜いたりして投稿してくるものがまとめられている。こういうの、なんか大好き。ボキャブラやソラ耳や言いまつがいに通じるおもしろさがある。
 各界著名人の数々の祝辞というか思い出話も。森山直太朗は随分好きらしく、6ページも特集されている。タイムリーなのは芥川賞の川上未映子。
 山田五郎のVOW論が鋭い。いわく、VOWはサンプリング&リミックス文化の走り。いわく、VOWは生身の人間が実人生をかけてやらかす頓珍漢だからこそ面白い。卓見。

『世界最大の「お笑い投稿」本 ニッポンの笑いVOW!!』宝島社、2008。

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