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2008年3月30日 (日)

美亜へ贈る真珠

 短篇傑作選ロマンティック篇と銘打たれた、1971〜 1998年にかけて書かれた叙情的SF短篇集。近年、著者原作の映画が公開ラッシュ(「黄泉がえり」「この胸いっぱいの愛を」)になったのにあやかって編纂されたのだろう。

 「美亜へ贈る真珠」航時機計画に志願し、時の流れを限りなく遅延させた空間で未来をめざす男。彫像のように佇む彼の元を繰り返し訪れる女性。
 「詩帆が去る夏」クローニング研究者の愛と絶望。
 「梨湖という虚像」恋人を失い辺境の星に赴任した女と、辺境を巡る資材運搬船のパイロットとなった男。
 「玲子の箱宇宙」新婚祝いに混じって、誰からのものか分からない箱には、宇宙が入っていた。
 「“ヒト”はかつて尼那を……」父の仕事に付いて、シエ・スタの街を訪れたワルッィエン人のパンチェスタは、ヒト博物館で……。
 「時尼に関する覚え書」保仁が5歳の時に出会った初老の女性、ジニイ。次にあったときには、彼女は心なしか若返っていた。
 「江里の“時”の時」ワームホールを通して、自分の存在しないそっくりの世界を幻視した男は、こちらの世界には存在しない女性に恋する。

 一番こころ惹かれるのは、「時尼に関する覚え書」。でもこれ、映画「ジェニイの肖像」とか萩尾望都の「マリーン」とかハインラインの「輪廻の蛇」とか山田太一の「飛ぶ夢をしばらく見ない」など、先行する類似の話がいろいろあるので新味に欠けるのは否めない。

 『美亜へ贈る真珠』梶尾真治、2003。ハヤカワ文庫JA。

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