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2009年11月22日 (日)

バリントン・J・ベイリー『ロボットの魂』

 バリントン・J・ベイリー『ロボットの魂』読了。
 老ロボット師の作り出したロボット、ジャスペロダスはロボット師の意図通り自由意志を持っていたので、誕生と同時に「親」を捨て、冒険の旅に出る。
 物語はおもしろい。しかし、ジャスペロダスが「自分に意識はあるのか?」という疑問の答を探し求め苦悩するのが、どうにもいらだたしい。
 幾多のロボット師に問いかけて、問答しても、そりゃ「否」と言われるだろう。我々がコンピューターに質問して、人間みたいな答を返してきたとしても、そこに人格や人間性が存在するとは誰も思わない。
 でも、ジャスペロダスは、自問自答し、思索にふけるのだ。つまり「我思う、ゆえに我あり」以外のなにものでもないではないか。
 語り手は、ジャスペロダスの視点にたっており、彼の見るもの聞くものを描写するのみならず、考える内容、悩む内容さえも描写しているのだ。そこに意識があることを前提にしなければおかしいじゃないか。
 造り手による種明かしが、また、ふざけてる。「人の魂を取り出し、ロボットに入れれば、ロボットにも意識を持たせられる」?! ロボットが意識を持つこと以上にトンデモない話だ。
 ともあれ、ベイリーがムアコックに献辞しているごとく、未来的なものと中世的なものが入り交じった楽しいアンチヒロイックファンタジーだ。

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