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2009年11月19日 (木)

小野不由美「落照の獄」

 小野不由美「落照の獄」(文芸誌『yomyom』10月号)
 数々の非道な罪を犯した男に対する刑罰を審理する、柳の国府の司法官たち。なぜ男は懐に十両もの金を持っていながら、たった十二銭のために幼い子供を殺したのか?
 ファンタジー小説〈十二国記〉の最新の短篇。短篇集『華胥の幽夢』の「帰山」で触れられた、傾きつつある柳国の実情が描かれている。
 まるで現代日本である。わけもなく人を傷つけ命をも奪う犯罪者。ここ20年ほどのいやな出来事を思い出す。
 傾いた国には妖魔が出没するというが、人の心にも魔がさすのだろうか。
 十二国記の新作だと期待してはいけない。陽子も尚隆も出てこない。初出の人々が延々死刑の是非を論じるだけである。
 かつてゲド戦記の第四作『帰還』が発表されたとき、三部作との作風・内容の違いにとまどいと反発の声があった。その理由のひとつは、ファンタジーであるにもかかわらず、現実の世界が抱える問題があからさまに持ち込まれていたことだったと思う(児童虐待とか)。「落照の獄」にも、そんなとまどいをおぼえる。
 これが、本編に厚みを持たせるための布石として役立つのなら、まあ良しとしたいのだが、さて。
 この話は、「帰山」の頃の出来事だろうか、それともあれから10年余りたった、今現在?(いや、それはなかろう。慶国や戴国の、この10年をちゃんと描いてもらわなきゃ困る)
 P.S.めったにないことだが、ネットでいろんな人の感想を読んで回った。9月に発売だったらしい。うひゃ〜。

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