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2010年1月29日 (金)

パプリカ

 2010.01.29
 筒井康隆『パプリカ』読了。
 精神医学研究所の時田浩作が開発したPT(サイコ・セラピー)装置と、それを活用した千葉敦子の治療は、めざましい成果をあげており、ノーベル医学生理学賞の最有力候補と目されていた。
 数年前までPT装置による治療行為は禁止されていたが、千葉敦子は変装して夢探偵パプリカを名乗り、秘密裏に社会的重要人物らを多く治療し成果をあげてきた。
 今、精神医学研究所は彼らを支持する理事長派と、それを心良く思わない副理事長派に分かれて内紛状態にあった。理事長派の医師がPT装置使用時に不可解な精神疾患を発症するなか、時田の部屋から開発最終段階の超小型コードレスPT装置「DCミニ」が盗まれる。

 千葉敦子が封印していたパプリカによる治療を再開し、患者の夢に介入していく様子がおもしろい。
 アクセス制御機能をつけないまま悪用されるDCミニは、驚くべき影響をもたらす。読みようによってはあまりにも荒唐無稽で失笑を買いそうなくらい無茶なことが起こるのだが、DCミニ以前から行なわれている、記憶ディスクに記録された「分裂病」患者の夢を「敵」の脳に送り込むというえげつない行為の後では、荒唐無稽もホラーになる。被害を考えると、彼らへのノーベル賞授与は思いとどまるべきだろう。オバマ大統領に平和賞を送る拙速同様。

 この作品は、著者の断筆宣言直前の作品らしい。この作品が言葉狩り的に批判されたかどうかはしらないが、かなり過激であることはたしか。「分裂病」とは、今でいう「統合失調症」だろうが、患者の夢や行動の描写はこの病気への偏見を助長すると言われてもおかしくなさそう。
 女性誌に連載され、「男に都合のいい女性像」と批判されたそうだが、たしかに。男としてはうれしいキャラだし、楽しく読んだが、セラピストへの偏見もよびそう。

 ともあれ、映画『パプリカ』は去年みた映画のベストワンである。以前この文庫本を買ったときは、読まずに売ってしまったが、今回は映画のキャラクターを思い浮かべながらぐんぐん引き込まれた。

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