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2010年6月15日 (火)

ロゴスの名はロゴス

 呉智英『ロゴスの名はロゴス』読了。言葉についてのエッセイ集。
 ○「習い性」は辞書にない言葉らしい。「習い、性(せい)となる」という成句から誤用されて使われだしたもののようだ。
 ○最近時々目にする「男性性」とか「女性性」という言葉を揶揄して、その意味を「男としての性質を備えている人が備えている性質」と解説する著者。でもわかるなぁ、この言い方。本来は「男性」と言えば済んでたのだろうが、今は「男性」が「男」という意味で使われるようになってしまったから。昔、卒論に「物語性」という言葉を書いたら、担当教授から「虚構性」ということかと問われてとまどったことあり。
 ○「次のxを満足する値を求めよ」は「xが満足する」か「xを満足させる」が正しいとの著者の指摘。そういえば私は以前から、物理学あたりで出てくる「安定だ」が気になって仕方がない。「安定している」「安定する」と言っちゃいけないのか?
 ○標準語では「僕は行かない」「僕は金が無い」の「ない」に発音の違いがあって、そのことに著者はかつて感動したという。発音にも論理(ロゴス)があることに。前者は「いかナイ」後者は「かねガない」と片仮名部分が上がるのだという。
 本当に? なんか違和感あり。「いカナイ」「かネガナい」じゃない? ちなみに関西弁だと「イカない」「カネガなi(中間の高さのイ)」?
 ○「失礼しちゃうわ!」は文法的には「失礼されちゃうわ!」で、本当は「失礼ね!」だろうと著者。
 でも以前読んだ本で指摘していた、「こいつは驚くね」の主語は「こいつ」だという目から鱗の説を受け入れるなら、「あいつが私を失礼しちゃうわ!」と解釈してもよさそうな気もしないでもない。
 ○「憮然」はブスっとしているのではなく、ガッカリしてるのだ。そのとおり。私は小学校のころ、国語の教科書に出てきた「憮然」の意味を先生に問われ、「むっとしてるんだと思います」と答えて「間違い」だと言われた。でもその文章ではどう読んでも「むっとした」と解釈するしかない気がしたのだ。その後、一度たりとして、「がっかり」という意味で使われる「憮然」に出会ったことがない。
 このさい、「むっとする」という意味では「ブゼン」とか「ブ然」とか表記してはどうか。
 ついでに気になる言葉をひとつ。「メロウ」には「ゆううつな」という意味はない。たぶん「メランコリー」から誤解したのだろうが。

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