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2010年9月 3日 (金)

ふたりの距離の概算

 米澤穂信『ふたりの距離の概算』読了。
 神山高校で五月の末に行なわれる20キロ全校マラソン大会「星ヶ谷杯」。一般道での混乱を避けるために各学年・クラスが3分おきにスタートするなか、古典部に属する二年生、折木奉太郎は、いかに走るペースを落として古典部員たちと話をするかを考えていた。前日に突然、正式入部をしないと言った仮入部の一年生、大日向友子の、突然の翻意の真相を知るために。

 普通、「ふたり」って言ったら、あのふたりでしょう。前作『遠まわりする雛』でも、著者自身があとがきで、距離がどうこうって言ってるんだし。だから今回、原因は三角関係かと半ば確信してたんだが。

 著者のモラルのありようが心地よい。本書の核心のところでもそうだが、新歓祭の件でのえる達の行動の早さ的確さにも、単なる謎解きだけじゃ終わらさない良識が感じられてうれしい。

 マラソンを走る数時間数十分の間に、回想し推理する。人生の悩みと走ることをだぶらせるような演出。いい頃合いで誰かが追いついてきて、その都度質問する。うまい設定。少々ご都合主義的な感もあるが、それもアリ。

 この人はこのあとどう生きていくんだろう、と気になる人がまた増えた。続きが気になるシリーズだ。

「あと一人で11人いる! サッカー部」おいおい少ないなぁ! でも、ええなぁ。
「どうして農産物として見ようとするんだ!」ああおかしい!
「あたし、仲のいいひと見てるのが一番幸せなんです」気に入った文句を集めたら、三つとも同じ場面だった。

 ところで、このシリーズは何年も前から続いてるのに作品中では一年余りしか経ってないのだが、「今」は何年なんだろう? ネットでカレンダーを調べてみると、四月終わりに飛び石ゴールデンウィークの三連休があって、その初日が土曜日になってるのは、2001,2002,2007年となる。古典部シリーズ第一作『氷菓』が2001年発表ということは、作品内では今2002年?

 さて、これでNHKラジオ「著者に聞きたい本のツボ」のポッドキャストで米澤穂信の声が聴ける。ネタバレがこわくて聴けなかったんだ。

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