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2011年2月24日 (木)

『マジカル・ドロップス』

 風野潮『マジカル・ドロップス』読了。良!
 中学校卒業の際に校庭に埋めたタイムカプセルが掘り出され、今は亡き真由美が入れたドロップ缶も預かった菜穂子。一粒それを口にしたらなぜか15歳の姿に戻ってしまった菜穂子は、ひょんなことから息子・要のバンドにボーカルとして参加することに。
 2時間17分だけ若返るというのが妙味であり、一缶限りというのもドラマにいい緊張を与えている。
 終盤には「いかにも」な危機がおとずれ(私には不意打ちだったが)、見事に収まるべき所へ収まるラストで涙。

 もし私なら、そんな所に首を突っ込まないだろうな、あとになってややこしいことになるぞ、と不安の先回りで冒険から遠ざかってしまうだろう。
 これは北村薫『スキップ』でも思ったこと。高校生の真理子が気がつくと25歳老けた自分になっていて、時間も25年経っていて、見知らぬ夫と娘がいて、自分が高校教師をしていることを知って、高校のことなど何も知らないにもかかわらず、にわか勉強して教壇に立とうとする、私から見ればおそろしいまでのチャレンジ精神に震え上がったものだが、今回も同じようなドキドキ感があった。
 ドロップの力で数ヶ月バンド活動出来たとして、無くなったらどう言ってさよならするつもり? 彼らの気持ちをもてあそぶことにならない? なんてことを考えてしまうのだ。
 そこを突っ走ってしまえたのも、ドロップの力、《15歳》の力だったのかも。

 ドロップをなめると若返るという「大嘘」を、だまされてあげようと思わせてくれる、いとしい物語。もちろんありえないことなのだが、読み終わったときには、「ああ、そんな摩訶不思議なことが、あってもいいかも」と思える。ひさびさにはらはらどきどきした。目頭が熱くなった。


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