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2011年5月16日 (月)

世界のグロービッシュ

 『世界のグロービッシュ 1500語で通じる驚異の英語術』読了。
 英語はアメリカ人やイギリス人など、ネイティブ・スピーカーだけのものではない。諸外国でさまざまな人々がそれぞれにアレンジを加えながら使っている。
 彼らが集まったとき、非ネイティブ同士は積極的に会話しようとするのに、ネイティブが話しだすと、非ネイティブの口は重くなるという。自分たちの英語が「正しい英語」ではないという劣等感ゆえか。
 ならば英語をもっとおぼえやすくしよう、単語の数を制限しよう、発音は通じればよしとしよう、比喩はやめてわかりやすい表現をしよう(「目の上のたんこぶ」と言うかわりに「邪魔だがないがしろに出来ない相手」みたいに)、ネイティブにも努力して歩み寄ってもらおう、といった発想で整備されたのが、グロービッシュ。
 文化的な豊かな表現力をそぎ落とし、ビジネスなど事務的なやりとりに向いている。

 パレートの法則というものがある。伝えたいことの80%は、豊富な語彙の20%で話せる、ということらしい。
 ほとんどのネイティブは3500語しか使っておらず、教養あるネイティブでも7500語程度。その20%は、1500語。つまり1500語あれば、言いたいことの80%が言える。残りの20%は言い換える(例:甥→兄弟の息子)。

 なお、これ以外に、専門用語はそれぞれの分野ごとに使ってもよく、国際的になっている言葉も使っていい(ピザ、ホテル、タクシー、トイレ)ので、実際には1500語を越えるのだが。
(しかし、料理用語「ソテー」が国際用語? よく聞くけど意味しらない)

 ちょっとおもしろいと思えるエピソード。著者のひとりが昔、石油会社で地図製作者たちと仕事をしていたときのこと。強風吹きすさぶ中で数字を伝えるために、彼らは独特の発音をしていた。wuhn(1)、teu(2)、thray(3)、foar(4)、fahve(5)、seex(6)、sebn(7)、ate(8)、nahne(9)、teeyuhn(10)、lebn(11)、など。これは進化? 退化? いや、環境への適応だろう。

 グロービッシュはもしかしたら、田中克彦が『エスペラント——異端の言語』で言っていたように、いずれ本来の英語をおぼえるはめになるのかもしれない。でも、このまま英語のアンバランスを続けるよりは、いいのかもしれない。

 こういうのは、どうだろう。すべての言語をグロービッシュ的に簡略化し、それを憶えあう。純正語に興味のある者は、好きな言語をさらに勉強すればいいし、最低限の意思疎通さえできればいいのなら、それ以上は強要しない。ビジネスや外交では、簡略語で済ませることとする。
 日本語は、どんなふうに出来るだろう? 漢字をなくす? 当用漢字でさえ、あるとないとでは憶える負担が格段にちがうものなぁ。
 ・・・中国語はそうもいかんけど。


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