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2011年12月 4日 (日)

レインツリーの国

 有川浩『レインツリーの国』読了。
 伸行が昔読んだとあるライトノベル。お気に入りだったそのシリーズの最終巻で衝撃を受けたことを、十年以上経ってふと思い出した。ほかの読者はあのラストをどう受け止めたんだろう?
 ネットで検索してヒットした書評の中のひとつに感銘をうけた彼は、思わずメールで感想を返した。そこからはじまるボーイ・ミーツ・ガールの物語。

 有川浩をはじめて読んだ。2006年に単行本が出て、おととしには文庫になってるので、古書店に行けばまちがいなく置いてるだろう。でも、仕事帰りの新刊書店で衝動買い。

 数日前、「山本弘のSF秘密基地BLOG」に『詩羽のいる街』の文庫本が出たことが紹介されていた。解説は、有川浩だという。
 本屋で『レインツリーの国』を手に取った。解説は、山本弘じゃん! そのなかで『詩羽のいる街』から引用された文章は、『レインツリーの国』らしきあらすじを語る詩羽の言葉だった。そして聴覚障害をもつ登場人物が出てくるという。
 そういえばカバーのあらすじは、ネットを介した出会いだ。とくれば、思い出すのは山本弘『アイの物語』の第2話「ときめきの仮想空間」。

 「ときめきの仮想空間」1997年5月。『アイの物語』2006年5月。『レインツリーの国』2006年9月。
 さては有川浩、「ときめきの仮想空間」にヒントを得たかな? と思いながら読みはじめた。
 その推測が当たっているかどうかは、内容からは読み取れなかった。物語のはじまりの重要なテーマは、たしかに共通している。しかし仮に「ときめきの仮想空間」が着想の元になっていたとしても、『レインツリーの国』はそれをはるかに深化させさまざまな取材や考察を経た物にちがいなかった。
 登場人物の厚みもちがう。アイディア勝負のSF短編として典型的な「ときめきの仮想空間」にはない、主人公やヒロインの内面の深さ、感情の起伏、矛盾を含んだ言動、枝葉末節な部分も含めたかれらの外面内面描写。あとがきに書かれた、著者の身内の発病も大きな影響を与えているだろう。
 視覚障害者が仮想空間の本屋で、アヴァターを使って立ち読みする「ときめきの仮想空間」は、それだけで、そうなってほしいなぁと思わせる部分だったが、『レインツリーの国』では聴覚障害者をヒロインに、現実に足をつけた生活を描いており、興味深かった。

 ふたりを出会わせたライトノベル『フェアリーゲーム』から彼らがそれぞれに受けた感想が、やがて彼ら自身の人生の選択ともオーバーラップしてゆく。
 とても良かった。

 ちなみに『フェアリーゲーム』は、ソノラマ文庫から出ていた『妖精作戦』シリーズの言い換えらしい。
 『レインツリーの国』の表紙は、『図書館内乱』の表紙絵に描き込まれているらしい。
 当面読む気はないが、本好きには楽しいエピソードだ。

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