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2012年11月16日 (金)

『フェッセンデンの宇宙』

 エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』読了。良。28年から69年の間に書かれた短編だが、ちっとも古くさくない。新鮮。

 「フェッセンデンの宇宙」(1937)実験室で極小宇宙を作り出したフェッセンデン。無数の惑星での生命の進化を観察するだけではあきたらず、そこに介入しはじめる。

 「風の子供」(1936)トルキスタン奥地に金鉱を求めて入り込んだ男が、激しい風に帰路を封じられる。そこで出会った娘は、風は生きているという。

 「向こうはどんなところだい?」(1952)第二次火星探検隊の生き残りの男が地球に帰ってきて、死んだ者たちの家族に報告しにいく。向こうでなにがあったのか。

 「帰ってきた男」(1935)棺の中で目覚めた男。ゴールディング『ピンチャー・マーティン』的。

 「凶運の彗星」(1928)太陽系に出現した彗星が、やがて地球にぶつかると判明。

 「追放者」(1943)こないだ立ち読みした星新一の話が、これの裏返しだった。

 「翼を持つ男」(1938)背中に翼を持って生まれてきた子供の成長と苦悩。

 「太陽の炎」(1962)灼熱の水星太陽側からの生き残りは、そこでなにを見たのか。

 「夢見る者の世界」(1941)草原の騎馬民族の勇猛な王子とイリノイの気弱な会社員。どちらがどちらの夢なのか。

 「世界の外のはたごや」(1945)そのはたごやには、古今東西の有名人たちが集っていた。20世紀のある政治家が、過去や未来からきた彼らに、掟を破って助力を乞うたとき、彼らは・・・。

 「漂流者」(1969)ポオの許を訪れた女性は、彼の中には未来人の精神が捕われていると言い、その者を目覚めさせるべく未来の話をしはじめる。原題は「Castaway」。無人島に取り残された男を描いたトム・ハンクス主演の映画のタイトルだ。「漂流者」はちょっとニュアンスがおかしいのでは?

 「フェッセンデンの宇宙」(1950)大筋は1937年版と同じ。フェッセンデンの友人である語り手の意識の変化を1937年版から変えることで、より深みを増したと感じられる。

 

 翼は矯正すべき障害なのか、それとも人並みはずれた天賦の才なのか。

 人々は彼を癒そうとしたのか、引きずりおろそうとしたのか。

 乙武君にロボットの手足を贈呈することは、今の科学技術なら出来なくはないだろう。でも彼のリア充ぶりを見ていると、余計なお世話なのかもしれない。

 人間として死にたいか、緩慢な死を生きたいか。自分は人間か。・・・そういうことなのか?

 覚え書き。『火星年代記』(1950)『光の王』(1967)

 ドラマ『火星年代記』の、肉体を離れた意識体のエピソードは、2010年に邦訳が出た新版に収録された「火の玉」のものらしい。

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