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2014年1月 4日 (土)

『死者の代弁者』

 「彼の名はヒューマンです」

 「そして、あなたの名もそうだ」

 

 カード『死者の代弁者』再読。良。

 あれから三千年(!)。『巣窩女王』と『覇者』が聖典のようにあまねく流布した「百世界」と呼ばれる宇宙時代の人類の版図に、「死者の代弁者」と呼ばれる人々が尊敬を集めていた。

 アンドルー・ウィッギンは、姉ヴァレンタインと共に星々を旅し、相対論的効果で今だ三十代半ばであった。三千年前の異類皆殺しエンダーとも、『巣窩女王』を著した初代「死者の代弁者」とも関わりのないひとりの「死者の代弁者」として、惑星トロンヘイムで活動していた。

 そんなある日、即時通信アンシブル・ネットワーク上に「死者の代弁者」を求める請願があらわれる。惑星ルジタニアで活動する異類学者ピポが原住種族ピギーに惨殺されたのだ。ピポの死を代弁するため、アンドルーは船内時間で2ヶ月、到着に22年かけてルジタニアへ向かう。

 ピポたちの「死」の真相を知ったピギーたちの悲痛な叫び(私がピポなら逃げた)と、親しかった者たちの間に横たわる時空の(あるいは心の)隔たりが切ない。

 カードはヴァンスの『復讐の序章』(魔王子シリーズ)を意識したんだろうか。木の精とピギーの類似や、スターキングにからんでの人間の定義を思いだす。

 ユートレニング、フラムリング、ラマン、ヴァーレルセって、かっこいいなぁ。この言葉を見つけて物語に盛り込んだことで、物語の味わいがずいぶん濃くなったと思う。

 『エンダーのゲーム』も『死者の代弁者』も、それぞれに完結している。どちらも続編は必要ない。続編が読みたくなる余韻にひたるのがいい。とはいえ、せっかく翻訳されてるんだから、見つけたら読みたいが、最近古本屋ではさっぱり見かけない。(ハヤカワ文庫SF自体、レアになってしまっている)

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