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2014年4月30日 (水)

勝谷誠彦『ディアスポラ』

 勝谷誠彦『ディアスポラ』良。
 あの「事故」があって、汚染範囲を示すいびつな同心円が列島を覆い、生き残った日本人は難民となった。『日本沈没 第二部』の一エピソードかとも思えるふたつの短編。
 「ディアスポラ」・・・「日本人難民状況巡回視察官(文化保存)」としてチベット・メンシイに滞在する諏訪。彼と、難民キャンプの日本人数十人の今そしてこれから。そこがチベットであることや、国連職員のイスラエル人の登場に、日本人の「これから」についていろいろ思いめぐらされる。
 「水のゆくえ」・・・去年秋の「事故」後、杜氏とともに山奥の酒蔵に残って酒造りを続ける徹。わずかに残った数人の村人たちとのかかわりあい。建設途中で放置され、無用の長物と化した未完成のダム。それにまつわるかつての対立と建設凍結、そして「事故」。電気が止まって昔ながらのやり方で行なう酒造りが、失われゆく文化を回顧するかのように語られる。
 二作品とも本質的にはSFというより純文学だ。解説の百田尚樹が言うように。(百田いわく、エンターテインメント性がない。たぶん、〈十二国記〉でいえば『華胥の幽夢』ではなく『丕緒の鳥』だろうな) 
 諏訪の出身地が神戸だと聞いて震災の被害を訊ねる人がいるほど、発表年からさほど未来の話ではない。今起こったらどうする?と問いかけられているようだ。さてどうする? たぶん出遅れて手遅れになる側かもしれない。
 初出2001、2002。単行本2011。文庫本2O14。

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